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仕事と育児とヒュッゲ

買った家に住めず、家族とも暮らせない「転勤」という制度

ども。ゆっくり歩いてますか?すぎやまです。

最近また「転勤」に関する話題がTwitterで盛り上がっていましたね。育休明けからたった2日で関東から関西への転勤辞令が出され、退職せざる負えない状況になったという話でした。

転勤や退職の事情は会社と個人の双方に言い分があると思うので一概にどっちが善悪とは断定できませんが、こういう問題はこれからも話題になっていくんだろうなと感じています。

そもそも日本国憲法では第22条第1項で「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と明記されています。憲法に書いてある権利というのは、日本人が生きていく上での最も基本的な権利です。憲法の内容を細かくフォローするためにあるのが法律ですしね。

逆にいえば「どこに住んでどこに引っ越してどんな仕事をするかは」というのは、誰かに侵害されてはならない大切な権利だということでもあります。例えば国や政府が個人に対して「あなたはここに住みなさい」とか「あなたはこの仕事をしなさい」というのは、当たり前ですができないということです。

でもそれが「会社」となるとできるんですよね。辞令を1つだせば、会社は個人の住む場所も仕事内容も、全て決めてしまうことができます。いわば会社で仕事をするということは、自分が持っているとても大きな権利を譲渡している状況にあるわけです。

もちろん会社と信頼関係があって、お互いがお互いにメリットのある状態ならなんの問題もないでしょう。ただ今回のような育休明けから2日目で転勤辞令を出して、その人の家庭を崩壊させるようなことをしてしまっては、うまくいくはずがありません。

ただ大きな企業がこうして社員の生活を全くかえりみない辞令を出せるのも、そう長くはないのではないかと思っています。というのも「転勤」という制度そのものが、ある程度、終身雇用を前提とした制度であり、日本の終身雇用というのは既に終わってしまっているからです。

現在、新卒社員を雇って立派に育て上げるほどの余裕が、多くの企業には無くなってきています。最近の大企業は早期退職募集の年齢を45歳に設定しているケースが増えてきました。また学生側も「この会社で一生頑張ろう」と思って就職するケースは少なくなりつつあります。有名大学の学生はみな外資系コンサル会社に就職を希望しているようです。

そんな状況を見ていると、いつまでも「転勤」を掲げる企業には優秀な学生は集まらなくなるだろうなと想像できます。とある調査によれば、就活生の約67%は転勤を嫌だと考えているようです。逆に考えると転勤をなくせば、就活生の心をグッと掴むことができるわけですね。

ただ私も大企業で働いた経験があるので分かりますが、転勤を廃止するというのは現実問題として難しいと思います。とはいえ、AIG損保は全国転勤を原則廃止しましたし、サントリーやキリンでは「転勤を最大5年間猶予される」とか「5年先、10年先の転勤希望について毎年上司と相談する」といった制度を取り入れています。

ようするにこれらの企業は何をやっているかというと、「本人の希望しない転勤」を廃止しているんですね。これは憲法に明記された個人の権利が尊重された素晴らしい取り組みだと思います。なにも転勤を全て廃止しなくても、できることはあるんですよね。本人の希望をきちんと確認すること、まずそこからではないでしょうか。

どこに住み、誰と生活するかというのは、考えている以上に人生においてはとても大切なことです。せっかく買った家に住めず、家族(特に小さな子ども)とも離ればなれ。そんな状況になってしまったら、一体なんのために仕事をしているのか分からなくなってしまいます。

今の日本企業が行っている全国転勤という制度は、間違いなく悪習であり、日本人の幸福度を著しく下げるものだと思っています。まずはこうした話題をきっかけに、「転勤ハラスメント」が認知され、なくなっていく世の中になっていけば良いなと心から思います。ではまた!