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仕事と育児とヒュッゲ

中国人にビックリされた「日本の保育園の実情」

ども、ゆっくり歩いてますか?すぎやまです。

最近はなにかと日本の保育園問題について目にする機会が多いです。それも悪いニュースばかり。

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どこかで書いたかもしれませんが私の嫁さんは保育士をしておりまして、私自身、自分の息子を保育園に預けている立場の人間です。なので、この問題についてはちょっと書かないとダメだよなぁと思ったわけです。

中国で驚かれた日本の保育士の実情

前に私が中国で働いていたころ、同僚の中国人女性に「すぎやまさんの奥さんは何の仕事をしていますか?」と聞かれたことがありました。私が「奥さんは保育園で先生をしているよ」と答えたところ、なんと彼女は目を丸くして「すごーい!奥さんはとっても優秀なんですね!お給料もたくさんもらってるでしょう?すぎやまさん、働かなくていいんじゃないですか?」と言ったのです。

逆に私はそのリアクションに驚いてしまいました。なので「どうしてそう思うの?」と聞くと、彼女はこう答えました。

「子どもは国の未来です。中国は子どもの教育にとても力を入れています。だから先生になれるのはとても優秀な人だけ。エリートの人しか先生になれません。」

中国では「教職=聖職」という日本では過去のものになってしまった考え方を今なお持ち続けているようです。私は少しため息をつきながら「それは素晴らしいね。ただ残念なことに、日本の保育園の先生は給与も低いし立場も弱いんだ。」と実情を伝えました。

それを聞いた彼女は「どうして?子どもを教育する人が優秀じゃなかったら、国の未来はどうなるんですか?日本は中国に負けてしまいますよ?」と言うのでした。

日本が中国に勝つか負けるかという話はさておき、この件については彼女の意見が全く正しいと思わざるを得ませんでした。日本の子どもたちはこれからの日本を担う存在です。いわば「子どもたちがどう成長し、力をつけていくか」ということに、日本の未来はかかっていると言ってよいでしょう。

そんな視点を持ってみると、日本の保育士の現状が今のままで良いとは到底思うことができないのです。

保育士の給与はなぜ低いのか

保育士の給与は務める園の組織形態によってもまちまちですが、一般的な企業と比較しても低いです。その理由は明白で、そもそも保育園自体の収入に上限があるからです。保育園というのは受け入れ可能な園児数というのが決まっているので、「受け入れ可能人数×保育料」というのが保育園の収入の上限となります。

例えば、園児数50人の保育園ならば、保育料の平均は月2万円なので月収は100万円となります。考えてみてください、50人の園児がいる保育園に先生は何人いるでしょうか?

もちろん保育料は親の収入によって決まりますし延長保育などで多少のプラスはありますが、大きく上下することはありません。つまるところ一般的な会社のように、すごく頑張って良い業績を出したからといって収入がアップすることはありえないんですね。とはいえ保育園が無くなってしまったらみんなが困る。だからこそ税金などによる国からの補助が必要になってくる業種なのです。

そのような観点で考えると、そもそも保育園というサービスは国が税金を投入しているから存続できるのであって、すごく儲かる仕組みではないというのは理解して頂けると思います。それゆえ、保育士というのは給与が上がりづらい職種であるのです。

さらに保育士の給与が上がりづらい要因として、日本の文化的な価値観というものがあります。今はだいぶ減ってきていると思いますが、いまだに保育士の仕事を「ただ子どもと遊んでいるだけ」と思っている人がいたりするんですね。さらには日本は「ものづくりの国」なので、物質に対する執着が強い反面、サービスに対してお金を支払うという感覚があまりありません。

例えば海外では音楽や本のデジタルサービスはあっという間に普及しましたが、日本ではCDが根強く残り続けていますし、いまだに「本は紙じゃないと!」という人も多くいます。TSUTAYAのレンタルショップなんて海外ならもうとっくに終了しているでしょう。「物」にこだわる日本ならではです。

しかしながら、日本人はサービスにお金を支払いません。海外の飲食店では、自分が食べた料理だけでなく店員のサービスに対しても「チップ」を払うのはごく普通のことですよね。ベッドメイキングでも、スーツケースを運んでもらっても、そのサービスに対してお金を支払います。ところが日本にはそういった風習はありません。

どうも日本人は目に見えないものに対してお金を支払うことが苦手なように感じます。そのように考えると保育士の仕事というのは、まさに「究極的に目に見えない仕事」といえそうです。親は子どもを預けて仕事に行ってしまうので、保育士が子どもに対してどんなことをしてくれたのか見ることはないですからね。もしかするとベッドメイキングよりも成果が分かりづらい仕事なのかもしれません。

したがって「保育士さんには感謝してるからもっとお金を払わないとね」と思う親は少ないでしょう。本当は1日子どもが元気に過ごしてくれたということが、何よりも尊いことなんですけども…。こうなると保育士の待遇改善へ頼みの綱は税金ということになりますが、これも残念なことになっています。

国は保育士ではなく親の味方に

政府は2019年10月から「幼児教育・保育無償化」を行うことを正式に決定しました。そう、ついに保育士さんの仕事は親目線では「無料サービス」になってしまったのです。国は保育士の待遇を改善するのではなく、保育園に預ける親の負担を減らす方向に舵を切ったのですね。

もちろん幼稚園や保育園が無償になればうれしいと思う人は多いと思います。でもこれによってもう保育士さんの仕事が社会的に尊敬される仕事になれる可能性はほとんど無くなってしまったように思うのですが、それは私だけでしょうか。

嫁さんにきくと、今でさえ保育園では「やってもらって当然」という態度の親は多くいるそうです。「保育士なんて全然感謝されないよ」と愚痴をもらしているのを聞くことも多々あります。そこで保育が全て無償サービスになってしまったら…果たして全国の保育士さんがやりがいを維持できるのか、私は本当に心配です。

欧州の高福祉国家を見習って教育の無償化をすることは、税金を高くするならば当然のこととは思います。ただ保育士の待遇を改善することなく無償化してしまうのは、いかがなものでしょうか。無料になったらますます感謝されない仕事になってしまうのではないかと、私はそんな危惧を抱いています。あなたはどう思いますか?ではまた。