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【書評】『社員ゼロ! 会社は「1人」で経営しなさい』を読んで

ども、ゆっくり歩いてますか?すぎやまです。今日も東京はとても良い天気ですね。

このブログでは、いわゆる固定観念や常識にとらわれない「新しい働き方」を考えていきたいと思っています。(私自身もそうした働き方を模索する1人です。)

そこで、今回は「会社」というもののあり方を見直せる1冊、『社員ゼロ! 会社は「1人」で経営しなさい』を紹介します。この本を手にとった理由としては、まずタイトルですね。会社の常識、起業家の常識に立ち向かっている感じが好きでした。

普通に考えて会社を設立するなら、どんどん売上を伸ばして、どんどん人を雇って、どんどん大きな会社にしていきたいと誰もが思うはずです。ところがこの本の著者は、「会社は自分1人で経営した方が良い」と主張しているんですね。その根拠はとても気になります。

付け加えると、私の周りには結構1人で会社を経営している人物が多く、また私が起業するとしても社員を増やしていくつもりはほぼありません。なので、「1人会社」の経営ノウハウ習得も目的に読んでみました。

これからは小さい会社の時代

本書の著者は税理士・経営コンサルタントとして、ずっと「極小会社」(自分1人、または2〜3人でやっている会社)を研究してきた実績を持っています。また著者自身も極小会社を10年以上経営しているそうです。

その著者が言うには、これからは「小さい会社の時代」になるとのこと。その理由は明快で、日本の人口が減っているからです。

人口が減れば消費は減り、経済規模は小さくなります。今の日本は大企業のリストラが終わることなく続いており、皆が知っている大会社でも経営難に陥る状況です。例えば私が就活をしていた頃、SHARPは亀山ブランドで絶好調でした。あの時に「何年後かに中国企業に買収されるよ」なんて言っても誰も信じなかったでしょう。

著者はこのように経済規模が縮小していく時代に、右肩上がりの計画を立て、たくさんの従業員を雇い、会社をどんどん大きくしていくのは難しいと考えています。だからこそ、1人でできることをやって、地道に稼いでいく方が懸命ではないかというのが本書の主張なのです。

雇われない生き方、雇わない生き方

従業員ゼロの1人会社を経営することは、「雇われないし、雇わない」という生き方することです。著者は高度経済成長期には、「雇われること、雇うこと」が素晴らしい方法であったことを認めています。

高度経済成長期であれば、会社は経済発展と共にどんどん成長するわけですから、どんどん人を雇う必要があったわけです。雇われる側も、会社がどんどん大きくなるわけですから、お給料も上がるし、もちろんリストラされる心配なんて考える必要がありません。

ところが今はどうでしょうか?今は縮小の時代です。頑張れば頑張った分だけもらえるどころか、逆に減らされることさえあります。苦しい経営が続けば、ある日、倒産してしまうことさえあるのです。今の時代において「雇われることのメリット」は、昔ほどないと言えます。

さらに付け加えると「雇うことのメリット」もかなり無くなってきました。フリーランスで仕事をする人が増え、またそうした人たちを束ねる会社も出てきています。これによって、さまざまな業務を外部委託できるようになりました。

今はわざわざ社員を雇って仕事をしてもらわなくても、対価を支払えば誰かにやってもらえる時代なんですね。そのおかげで、従来であれば1人では絶対にできなかったような業態の会社であっても、今は1人で経営することが可能になっているようです。(本書ではその例として、「1人出版社」というのが紹介されていました。)

成長という果実を捨てれるか?

若い起業家の夢といえば、売上を伸ばして会社を成長させて、六本木ヒルズにオフィスをかまえて、ホリエモンと対談して…みたいなものだと思います。もちろんそれも全く悪い夢ではありません。そういう情熱はむしろ好きです。

ただ今は右肩下がりの経済環境なのだから、無理に会社を大きくせず、ミニマルでフレキシブルで収益性の高いビジネスを作ろうという著者の主張にも相当な説得力を感じました。以前、「売上を減らす」というビジネスモデルに取り組んでいる飲食企業について書いたこともあったので、なおさらそう感じたのかもしれません。

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「成長」という言葉は本当に便利だなぁと思います。「成長のためなら損しても苦労しても構わない」というような、ある種の「成長神話」を信じてる人は多いはずです。ただこれからの時代、やみくもに成長を追うのではなく、それが目的なのか手段なのか、はっきりさせねばならないと感じました。

本書では1人会社を経営するメリットだけでなく、実際に1人会社を経営する際の収益の考え方や時間の使い方など、実践的な内容も多く含まれています。特に1人会社の「利益」の残し方に関する指標は大変参考になりました。(ちなみに[役員給与:経費:利益=4:4:2]というのが黄金比だそうです。)

現在、会社の事業計画について迷っている方はもちろんのこと、これから起業を考えている方や複業・副業を考えている方にもオススメの1冊です。個人的には1人会社がテーマなら自営業との違いについても少し触れてほしかったかなと思いましたが、内容的には満足できました。ご興味があればぜひ。ではまた。

社員ゼロ! 会社は「1人」で経営しなさい (アスカビジネス)

社員ゼロ! 会社は「1人」で経営しなさい (アスカビジネス)